君への想い
中2の冬の寒い日、深夜1時ぐらいに近くのコンビニに肉まんを買いに行った日に中西がコンビニの
前でうずくまってた。

最初は素通りしようと思った。

「おい、姉ちゃん。こんな夜に家出?!オレらと遊ぼうぜ。」

ここら辺ではよくある光景だった。相手は多分二十歳はいってるだろう、いい年こいた3人組のヤンキーだった。

一人の男が中西の腕を触った。

「やめてください。」

俺はゴミ箱の前で気づかれないようにタバコを吹かしてその光景を見ていた。

「いいじゃねぇかよ。ほら車乗れよ。」

中西の表情はそんなに怖がった様子ではなく冷静だったのをおぼえてる。

「乗れっつってんだろ?」

男が中西の髪を掴んだ。

俺は自然に体が動きだしてそいつらの元へと歩き出していた。

…できれば、喧嘩なんてしたくなかった。昨日したばっかで傷の腫れがまだ治ってなかったからだ。
「おぃ。離してやれよ。」

「何だよ、テメェ?」

一人の男の顔が近づいてきた。コイツの息、マジでクセェ。

「テメェの息クセェんだよ。悪いけど離れてくんない?」

中西が驚いた顔でこっちを見てきた。
ガン見してんじゃねーよ。そう思っていた時、拳が腹に飛んできた。

俺はその拳をへし折った。男の悲鳴が響いた。

すると中から店員が出てきた。
「他のお客様のご迷惑になりますので。」

「テメェ覚えとけよ?」

3人組はそそくさと車に乗り込み去っていった。

「何だよ?弱ぇな。」

俺は何か気まずいから、中西を見ないで帰ろうとした。

すると、
「助けてくれてありがと!稲森くん!」

稲森くん?何で?
名前しってんの?

「同じ中学だよ?アタシ」

マジで?こんな奴いたっけ?俺は中西をガン見した。

この頃は俺は中西の存在さえ知らなかった。
「お礼…したいんだけど。」
お礼ねぇ…あ。肉まんでもおごってもらおうかな?

「じゃあ、肉まん。」

中西は驚いた顔をしてた。
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