月夜の散歩

戸惑い



「先週行けなくてごめんね〜絵美先生。」




「いいょ〜気にしなくて。マスターと盛り上がったし。」





暖かな陽射しが差し込む午前中の空き時間に、絵美先生のいる保健室で生徒には内緒のティータイムを楽しむのが日課になっている。






「それにしても……見たかったなぁ〜悠斗」







絵美先生がしみじみ呟く。








「そうなの〜??別に普通だょ〜」








「普通じゃないわよ!芸能人なんて滅多にお目にかかれない…。」








「…ぁ〜まぁ…そうだね〜」








「しかも、あの悠斗でしょ!」







「……そんなに有名なの??」







私の発言を聞いて絵美先生が大きなため息をはく。







「…はあぁ…たくぅ〜……知らないにもほどがある。」








絵美先生が立ち上がり、数冊の雑誌を持って来て見せてくれた。







そこには……
表紙を飾っているのもあれば、有名ブランドの広告になっているのや、特集を組まれている雑誌もあった。








「…………す…ごいね…」








どれを見ても必ず載っているのに驚いた。








「みのり先生は世捨て人??」







「違うよぉ〜〜!!!」






思わず大声になる。








「…だって……教師の仕事ってやること多くて、テレビなんか見る余裕ホントに無いんだもん…。」






ぼそぼそつぶやく。
< 13 / 14 >

この作品をシェア

pagetop