隣の王子様




汰月が言った言葉をもう一回思い出す。



『いつになったら振り向いてくれるわけ?』




……そんなの知らない。



あたしは振り向かないよ。



汰月はきっと誤解しているに違いない。



何となく言いたいことは、分かったけれど答えなんて出さない。



いや、出しちゃいけないんだ。



出したらおしまい。



幼馴染みは幼馴染みなんだよ。



その関係は変わらない。



ずっとね……。



「汰月?」



「何?」



「あたしは、何も言わないから。」



「………。」



この言葉で察して。



「俺は嫌だからな。変えてやる、こんな関係は」



変えられないよ。



変えちゃいけない。



ずっとあたしたちは、“幼馴染み”なんだから…。



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