AZZURRO
ワインを酌み交わしながら
クリスの意識は
エイル川を隔てた向こう岸
アレクサ帝国に向けられていた


ユキノ…無事だろうか…?

『私がたっぷり可愛がってやろう。』

ブレイクの言葉が頭をよぎる

あの
シルクの様な象牙色の肌に
飴色の骨ばった指が、手がふれるのを想像するだけで
全身が煮えくりかえる様な怒りがこみ上げる


私のモノではない…

異世界から来た娘…


いずれは
元の世界に帰るのであろうか…?


だが
その時…私は素直に手離せるのか?


問いかけたところで
返答などあるわけでもなく


クリスは自嘲気味に口元を緩めた


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