AZZURRO
クリスの話を聞いた両陛下は
すぐにクリスへの全面協力を承諾した


そして
クリスは何事も無かったかのように
自分の席へ戻る


「…兄上?何かありましたか?」


「いや、なんでもない。」


「ユキノは?まだ来てないのですか?」

「ああ、少し疲れたようで
休んでいる。心配はいらないよ。」


カヴァリの質問に顔一つ変えることなく
クリスは答えた


今日は他国の要人や貴族が多く
城内の警備はいつも以上に厳しいはず…


それなのに
なぜ、賊が侵入できた?

しかも
場所は城の内部でも入り組んだ場所にある
小さな一室


普通なら見つけるのも困難なはず…

城内に精通している者の
手引きがあったか…?

あるいは…

クリスはぐるりと広間を見渡すと
楽しそうに話をする貴族たちが目に入る

貴族か…?


思わず鋭くなる目つきを正し

あわよくばクリスの妃に…と
玉の輿を狙う貴族の姫たちに
美しい微笑みを向けた


直撃した姫たちは
我先にとクリスに近づいてくる


そんな姫たちの相手をしながら
少し離れたところで

アメリアの表情が変わったのを
クリスは見逃さなかった


あの女…やはり何かあるか…
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