AZZURRO
「あの、ジャンさん。」


「はい?」


「さっきの男たちが話していたんですけど
私を連れてくるように言ったのは
神官だそうです。」


「神官?!」


「はい。
何を考えてるかわからない
掴めない男だって言ってました。

あと
私の受け渡しは今日の明け方だったみたいです。
そこを抑えれば
真犯人を捕まえられるかも…。」


ドラマでしか聞かないようなセリフを
言ってる自分を少し恥ずかしく感じながらも
雪乃はジャンの答えを待った


「そうですか
貴重な情報…ありがとうございました。

明け方にはまだ時間がある。

私に少し考えがありますゆえ
一度クリス様の宮に戻り
策を練りましょう。」



「はい。」



こうして
一同は一旦クリスの宮へ帰った


宮に入ると
クリスが飛び出してきて

雪乃を力強く抱きしめた

「ユキノ…!
無事か?…怪我は?」


絞り出したような声に
雪乃も胸が熱くなる


「大丈夫です。
…ご心配おかけしました。」


「いや、謝るのはこちらの方だ。
怖い目にあわせてしまったな…

…なんだ?
その手首の傷は?
それに…口角も血が固まっているぞ?」


目ざとく見つけたクリスに
雪乃は少し気まずそうに答える

「縛られていたロープを
蝋燭の火で焼き切った時に…火傷しました。

口角は噛まされた布で擦り切れたんだと思います。」
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