AZZURRO
翌日
クリスは仕事で城に行くという事で

雪乃は
ケシャを連れてカイルの観光に来ていた


石畳の道が幾方向にもつながり
いきかう人々の姿も様々だった


「すごいね。
人で溢れてる。」


「カイルはこの大陸一番の都です。
各地方から買い出しや観光など
日々賑やかで人が溢れていますよ。」


「…そう言えば
みんな翼をもってないの?
クリス様や皇帝陛下・皇后陛下はお持ちなのに。」


雪乃は
行きかう人々の背中を見てふと思った

そういえば
ケシャやジャンゴルチェにいたっても
翼は見えない


「翼は
風神エフェソの子、風の民の象徴で
この国の皇族の方々にしかございません。」


「風の民?」


「はい。
風の民は古来より風神様の力を借りて
風を操り、戦を納め、この大地に
富と平和をもたらしたといわれています。

アルヴェスの初代国王は風の民の長で
その絶対的な力で
帝国と言われるまでに国を成長させたとか…。」


「はぁ…すごい話だね。」


普通に聞いたらただの神話かもしれない
しかし
実際に翼をもつ人間を見た後では
絶対的な説得力があった
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