AZZURRO
「じゃあ、クリス様も
風の民だから、風使いだったりするの?」


「それは定かではありませんが…

…ハジェンズから出向する船にはいつも追い風が吹き
沈没する船がいないのは…

クリス様の加護のおかげだと
巷では噂されています。」


「マジか…。」

クリスの神々しい姿を想像すると
それは真実なんだと思う事が出来た


「あ、ユキノ様。
あちらが公営のアゴラです。」

ケシャがさす方向には
数十本の柱が並んだ円形状の
石造りの競技場のような広場があった



「アゴラってなに?」

「アゴラは市場や公的行事に使われるための
広場の事で、集会場ですね。」


「へぇ…。」

イタリアのコロッセオ遺蹟みたいだ…

「でも
ケシャはずいぶんカイルに詳しいんだね。」


「両親が貿易商と言う事もあって
なんどもカイルにはきていますから。
ご案内はお任せください。」


自慢げに微笑むその姿には
街で盗みをしていたころの面影はなく
やせ細っていたからだも
年頃のふっくらした体に戻りつつあった

いまでは
雪乃の方が痩せすぎだと
たくさん食べさせられるので
ちょっと困っている…
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