気付いたら、悪魔の腕の中。


 俺がどれだけ後悔したか、わかるか?

 …お前を無理やりにでもそばにおいておけばよかった。






 「…環を幸せに…して…ね」


 お前が集中治療室で口にマスクされながらも、漏らした一言。


 それが最後の言葉だった。




 俺はいてもたってもいられなくて、部屋を出た。そのあと、タマとおじさんおばさんが来て、雫は息を引き取った。


 タマは…そのショックで、ほんの少し記憶障害を起こした。

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