近々未来な彼

いつもの私なら気にならなかった一言。
胸の奥に鋭い針がひっかかって痛い。全身が棒になったようだった。
それでも耳は正常で、聞き耳をたてている。



先輩は、饒舌に続ける。
「ああ、うん。今日のは遊び。菜月とはうまくいってる。当たり前だろ?大丈夫だよ。バレるわけないって。未来は、馬鹿だから自分が彼女と思ってるよ。ははっ」


乾いた笑いは意識して聞いていないとわからないくらい小さく、からっと水分を含んでいなかった。

【未来は、馬鹿だから自分が彼女と思ってる】



………


……………たしかに
たしかに私は馬鹿だよ。
今の状況にもちゃんとついていけてない。
だけど、ねぇ、
痛いよ。心が。

力が入らない。
身体が小刻みに震えだす。
考えるより先に感じちゃうんだ。


この場所から離れたい。
悲しみよりも早い恐怖の訪れ。信じられないよ。



帰ろう…。
ここに居たってしかたない。
この後気丈に振る舞えるほど私は強くないし、賢くもない。



*
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