学生さん
第19章
     19
 七月に入り、開告大がある西日本地方も梅雨明けした。


 あたしは半袖のシャツを着て、大学内にあるカサ研に通い続ける。


 別に変わったことはない。


 単に研究が続くだけだ。


 謙太は原稿を規定枚数余裕で仕上げてしまったらしく、あたしにもメールをくれた。


 <今推敲中だよ>と。


 そしてあたしは院の授業だけでなく、学部生の授業にも河西のティーチングアシスタントとして出席し、若い学生からエネルギーをもらっている。


 あたし自身、体のだるさを感じ取っているのだった。


 特に前夜寝苦しくて、溜まっていた疲れにいいのは、朝一で一本欠かさず飲むビタミン剤だ。


 あたしはつい最近、夏が本格化し始めたときから、そういったものに頼り続けている。 


 確かに一本飲めば効く。




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