magnet
と、二人になった所で何故か名前の話に戻った。
「じゃあ先輩が俺の名前を呼んでください」
そう切り出してくる相手。
さっきまでの様子は微塵にも感じさせない。切り替えが早いとでも言うのか。何にしろ……
「何で」
「流れ的に。はい。どーぞ」
訳が分からない。まるで決定事項のようだ。
釈然としなくて停止していると、目が合う。
目が合うのは珍しくはないが、今回は呼べと目で訴えられている気がした。
呼べば、いいんだろうか。
……
「――湊」