magnet


舐めても舐めても一向に小さくならない飴。


「お前はしぶといね。……」


あ、ヤバイ。末期だ。飴に話し掛けてるよ。


「朔……」


今ごろ何してるんだろうか。未だに探してるんだろうか。


……いや、探してないな。うん。時間の無駄な事を一々する必要性もないし。


何でもいいんだけれど。


「あ、先輩見っけ」


「!!?」


思わぬ声とその姿に目を疑ったと言うか全力で逃げたくなった。


だが逃げ場はない。


最後の抵抗のように片手で帽子を抑えてうつ向いた。


その後、足音一つ響き渡り、それは目の前で止まった。



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