magnet


仕方がないのでせめてもの策で、教室から離れた場所に移動を試みた。階段の側で人気が少ない絶好の場所。


「ここ先輩。痩せました?」


そんな場所でのいきなりの第一声がこれ。痩せたかどうかは分からないけど殆んど食べていなかったのだから必然的にそうなるかもしれない。、


「ちゃんと食べないと駄目ですよ。栄養とらないと」


「あ、うん」


何故説教みたくなっているのだろうかと、たじろぎながらも頷いた。いや、ちょっとした圧力が掛かっていてそうしないといけない気がしたと言ったほうが正しいかもしれない。


気のせいか、あるいは久々だからか、強気になった印象を得た。もしかすると、私が弱気になっていたからかもしれないが、確かめる術はない。


かと思えば、今度は気まずそうな顔を浮かべていながら何かを発しようとする。が、口を開けては何かを言いかけ、口を閉じ。また開けては……と、そんなのを数回繰り返していた。


何となく言いたい事はわかるからここは先手を打つことにする。


「別れたよ。でも、もう一回話をしようと思って」


主語はなくとも分かるだろう。きっと言いたい事はその事に関する事だったのだろうから。


私がサラリと言ったことに驚いたのか一時停止。だが、表情を変えてまた動き出す。


「あ、じゃあ。湊くん呼びますね!」



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