magnet
篠田さんとやらのチームは強かったけれど試合は負けてしまった。
やっぱり、この球技大会は上級生には不利だよなぁ。今度は入れ替わるように湊達のチームが入って行くのが見えた。
「うわー。ギャラリー増えた」
本当だ……入り口に人が一杯。
さすがに二階はがら空きだけど。まぁ、ほとんどの人達はすぐに試合しないといけないからだろう。
「あれ何?」
「湊くん人気あるって言ったでしょ」
「言ったでしょって言われても……あぁ。そう言う事か」
「ね。あっちに移動しよ」
「はいはい」
移動した場所は湊が試合するすぐ近く。顔までよく見える。
ストレッチしている姿が見えた。怪我防止なのか、いつものピンはなく少しばかり長い前髪が目に掛かっていた。
邪魔そう……
次に腕伸ばしに差し掛かろうとしていた時、ふとこちらを向いた。
ストレッチを止める事なく数秒見つめ合うとニッと笑った。
「……」