magnet
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甘い匂いに誘われてやってくるのは天敵。
「……っ!?」
その天敵は私の前でバタッと倒れた。
「こ、心菜が湊くんを……!」
隣で見ていた愛架は口で手を覆い大げさな反応。死にはしないはずだからそんな反応しないで欲しい。
「……そんなに酷かったか」
完成してから味見していない調理実習で作ったカップケーキ。
いつもの通り酷い出来だったようだ。ペシペシと頬を叩くも起きる様子はない。
「心菜はお菓子作りはダメダメだねー」
あはは。と乾いたような笑いを上げて湊を見ている。
「過ぎたものは仕方ないよ。それより湊は……仁に保健室まで運んでもらうか」
頼りになる男子なんて仁くらいだ。早速愛架に携帯を拝借して電話を掛けた。
普通にメモリーに仁の番号が入ってないからそんな行動に出たのだ。