モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


バタン、

3人が病室から出て行ったのを確認すると

八木は口を開いた。

「筧には言ったんだがな、

二人は双子だろう?」

「・・・え。」

遥は海を見て、そして八木に視線をうつした。

「な、何言ってんだよ。」

「校長からすべて聞いたよ。

過去にいろいろあったことは良くわかった。

けどな、校則で家族が同じクラスにいることはダメなんだ。」

とくん、とくん、

遥の鼓動が徐々に早くなっていく。

「職員会議で決まったんだが、筧海には隣のクラスに移動して

もらうことになった。佐々木もいるから安心しなさい。」

優しく笑いかける八木に、

遥はガタン、と音をたてて立ち上がる。

理子と海を同じクラスにさせるわけにはいかない。

彼女は自分達が双子で、想いあっていることを知っている。

「・・・海の変わりに俺が移動します。」

「いや、遥は今のクラスのままでいい。」

「なんでですか。」

「ほら、筧は今のクラスであまりうまくいっていないだろう?

心機一転して、隣のクラスで頑張ってはどうだ?

見た目もすっきりしたし。な?」

「遥、私は大丈夫だから。」

「っ・・・。」

不安そうな表情を海に向けるが、彼女は大丈夫だといって聞かない。

「・・・わかりました。」

「また詳しいことはお前たちが学校に来たときに言うよ。

明後日だな?」

「はい。」

「親御さんも了承してくれているし。

じゃあ、先生はそろそろ帰るよ。」

また元気な姿を部活で見せてくれよ。と八木は告げて

病室を出て行った。

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