モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語



それから数十分後、二人が入院している病院についた。

エレベーターで病室へと向かう。

意識を取り戻している遥に早く会いたくて

健二は落ち着かない。

それを察した冬樹が軽く彼の頭を叩いた。



「ついたぞ。」

八木の声に顔をあげれば、

二人の名前がかかれた病室。

親戚同士と聞いていたために同じ部屋だということに

なんの意識もなかった。


ガラ、


「遥ー!筧さん!元気か?」

健二がそういえば二人は驚いた様子で顔をあげた。

「健二!?それに、理子と冬樹も・・・あと、八木。」

「先生はついでか!相変わらず遥はひどいなあ。」

八木は困ったように笑う。

「遥くん、もう大丈夫なの?」

「うん、熱はまだ少しあるけど微熱程度だし。」

理子が普通に接してくるのに対し、

少し戸惑ったが遥は平常を保つ。

ここには冬樹も健二も、八木もいる。

何もなかったようにふるまうしかない。



「よかった、いつから学校来れるんだ?」

「明後日からなら行けると思う。」

「マジで?よかった!」

実際お前いないとヒマなんだよな、と健二は言う。

その言葉に冬樹と海は笑った。



「あ、そうだ。お前たち二人に言うことがあるんだ。

3人とも少し席を外してくれないか?」

八木の真剣な表情に冬樹と健二、それに理子は頷いた。

海の心臓がドクン、と鳴る。

遥は意識を取り戻していなかった為に知らないが、

あの事に違いない。

無意識に冷や汗が流れる。

< 149 / 206 >

この作品をシェア

pagetop