モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


海の元へ追いつくと、

そのまま手を取り走り出す。

「はっ、はるかっ!?」

驚き声をあげた彼女を無視し、そのまま走り続ける。

「お前、行くあてあんのかよ!」

少し乱暴にそう問えば、小さく 無い とつぶやいた。


ハアー、とため息をつき

遥はやっと止まると彼女の額を小突く。


「あのなあ、行くあてもないのに家出しようとするなよ。」

しかも夜中。危ないだろ、という。

彼の言うことも一理あるような気がして、反論できない。



「あとな、俺はお前が好きなの。

海が俺の事、これから先弟として見るようになっても

俺は絶対に海の事は双子の姉として見れない。」

「・・・そんなの、わからないでしょ。」

「わかる。だって、俺、気づいたのは最近だけど

保育園の時からずっと海の事が好きだったんだからな。」

海は言葉を失った。

遥は迷いが吹っ切れたのか、感情をストレートに伝えてくる。

素直に嬉しかった。


「海のそばにずっと居たいんだ。

結婚できなくてもいい。

それでも、海の事幸せにする自信ある。」

「っふふ、それって、プロポーズみたいだよ。」

思わず笑ってしまった。

彼を見ていると、悩んでいたことがどうでも良くなってくる。

先の事は後から考えればいい。

大事なのは今自分がどうしたいのか、だ。



「遥、好きだよ。」


もう、いいや。

弟として見れなくても、

まわりになんて言われようと。

後悔なんてしてない。

二人でなら、生きていける気がした。


遥は海の手を引くと、そのまま乱暴に口づけた。



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