モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
*
ガタン、ガタン。
規則正しく揺れる電車の中に二人はいた。
携帯の電源は切ってある。
居場所を突き止められないようにする為だ。
海の右手と遥の左手はぎゅっと握られていた。
「どこに行きたい?」
「どこでもいいよ。」
「じゃ、次で降りて
電車乗り換えるか?」
買った乗車券が、次の駅までのものだから仕方ないだろう。
約3時間だろうか。
結構家から離れたと思う。
「うん。」
眠たい目を擦り、海は頷いた。
無理もない、もう朝の4時だ。
できるかぎり家から離れなければならない。
捜索願いが出されればすぐに見つかってしまうだろう。
「あと30分あるし、次の駅まで寝てろよ。」
「・・・うん。」
そう聞くと安心したのか、こてん、と遥の肩に頭を乗せて
眠ってしまう。
遥は微笑み、視線を窓の外に向けた。
不安が押し寄せてくるが海が隣にいるだけで
どうにかなるような気さえしてくる。
次第に遥もウトウトし始め、瞳を綴じた。