モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語











ガタン、ガタン。

規則正しく揺れる電車の中に二人はいた。

携帯の電源は切ってある。

居場所を突き止められないようにする為だ。

海の右手と遥の左手はぎゅっと握られていた。


「どこに行きたい?」

「どこでもいいよ。」

「じゃ、次で降りて

電車乗り換えるか?」

買った乗車券が、次の駅までのものだから仕方ないだろう。

約3時間だろうか。

結構家から離れたと思う。

「うん。」

眠たい目を擦り、海は頷いた。

無理もない、もう朝の4時だ。

できるかぎり家から離れなければならない。

捜索願いが出されればすぐに見つかってしまうだろう。


「あと30分あるし、次の駅まで寝てろよ。」

「・・・うん。」

そう聞くと安心したのか、こてん、と遥の肩に頭を乗せて

眠ってしまう。

遥は微笑み、視線を窓の外に向けた。

不安が押し寄せてくるが海が隣にいるだけで

どうにかなるような気さえしてくる。


次第に遥もウトウトし始め、瞳を綴じた。
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