モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語


ガラ、

遥は着替えを持って脱衣所へと向かう。

服を脱ぎ風呂のドアを開けて固まった。


「お前も来たのか。」

バシン!

無意識に風呂場の扉を閉めた。

風呂場は軽く6人は入れるほどの大きさだった。

「双子弟。入れば?」

「・・・。」

服も脱いでしまったし、沢田もそう言っている。

遥は仕方なくもう一度扉を開くと中へと入った。

そして無言で湯船に浸かる。


「ふう。」

沢田はため息をつき、ちらりと視線を遥に映した。

なんで会ったばかりの男と風呂に入らなければならないんだろう。

自分がちゃんと確認しなかったのも悪いが、

この状況は気まずい。



「俺にもお前くらいの息子がいるんだよな。」

「・・・はあ。」

「何も父親らしいことしてやれなくてさ、

・・・だからかな、お前ら見たとき思わず雇っちまった。」

「・・・。」

沢田は何も言わずに遥の頭に手を伸ばすとガシガシとなでた。


「お前、双子姉の事好きだろ?」


「っはあ!?」

急な発言に思わず大声を上げる。

「な、なんでそうなるんだよ!」

「見てればわかるっつーの。

双子姉を見る時だけ顔の表情が変わる。」

「え”」

自分でも無意識だった。

初めて指摘されて頬がみるみるうちに赤く染まっていく。


「ま、頑張れよ。」

「・・・軽蔑しないのかよ。」

「好きなんだろ?」

「・・・うん。」

「じゃあ、いいんじゃね?」

沢田は驚きも否定もせず、ただ認めてくれた。

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