モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語







「つ、疲れた。」

「昨日よりハードだったね。」

ワゴン車の前に並べられていた椅子に二人は座り

ぐったりとしている。

今日は店は休みだった為に客はいなかったが、

休憩なしに動きまわっていたために体力の限界だった。


「お疲れ。」

沢田の声と共にカタ、という音がした。

テーブルを見ればいつの間にか豪華な料理が並べられている。


「え?」

「明日に備えて、食べとけ。」

今日よりもっと疲れるぞ、と沢田は笑う。

「「・・・ありがとうございます。」」

「おう。」

忙しく、疲れるけど楽しい。

素直にそう感じた。

ここで海とずっと一緒に暮らしていけたら、と考えて

遥は自分の考えに呆れた。

そんなの、できるわけない。



「遥、食べないの?」

手が止まっている弟を見て心配そうな表情を見せる海。

「いや、食べるよ。」

料理を一口、口に運んだ。












「・・・健二。」

最後の授業が終わる予鈴と共に、冬樹は声をかけた。

「なんだよ。」

「落ち込みすぎ。」

「・・・そりゃ、落ち込むだろ。」

健二は昨日の事を思い出す。

理子と二人で遥の家に向かったのだが、家に明かりはついていなかった。

出かけているのかと思ったが念のためにチャイムを鳴らすと

中から双子の母親がでてくる。

母親の表情は疲れていて、目元には涙のあとがあった。
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