モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語





*


「遥ー、準備できた?」

「・・・うん。」

次の日、母親に呼ばれて遥は返事をした。

穏やかとは言えない微妙な空気が流れる中、海は心配そうに遥を見つめる。

短期間でいろんなことがありすぎたなあ、と思うと同時に

胸が切なくなった。


父親は朝から車をだしている。

「・・・海ちゃん、ごめんね。」

母親はそうつぶやき、海の頭を撫でた。

本当は、こんなことしたくない。

けれど、二人のためを思った結果、こうするしかない。


「ううん、いいよ。」

海は困ったように笑い、母親から離れて荷物を持つ遥に視線をうつした。



「遥。」

彼は振り向く。


「・・・海?」


それ以上何も言わず、海は笑顔を崩さない。

「遥、行くぞ。」

父親に呼ばれて、遥は名残惜しそうに海から視線を外した。


「・・・。」

ばたん、

助手席に乗り込み、ドアがしまる。



「さあ、海ちゃんも学校の用意しなさい。」

「う、うん・・・。」




「海!」

突然、叫ばれた。

窓を開けて、遥は身を乗り出す。

「絶対、待ってろよ!」

ぽかんとした表情で遥を見た。

みるみるうちに表情が緩んでいく。


「・・・うんっ!」

その返事を聞いた遥は満足そうな笑顔で頷き、

助手席に座りなおすと母親と海に向けて手を振った。

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