モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
「・・・え、遥君?」
「遥?お前・・・、」
「今、海って・・・言わなかった?」
クラス全員が遥へと注目する。
海は遥を見て、そして泣きそうな表情を見せた。
「お前、なんでピンとったんだよ。」
気にせず、遥は彼女へと歩み寄り前髪に触れた。
「ちょ、ええ!?は、遥っ!?」
「・・・遥?君、何してるの?」
健二と冬樹が彼に問いかける。
遥は二人を睨んだだけで答えようとはしなかった。
「ピン、ずれたから付け直そうとしたら、壊れちゃって・・・。」
海は小さくそう言った。
「・・・いいの?遥、く・・か、筧君。」
「もう、名前でいいよ。」
そういうと、海は頬を染めて泣きそうな表情をして微笑んだ。
ドクン、
また、心臓が高鳴る。
海の素顔は遥にしか見えない。
誰にも見せたくないという独占欲が湧いてきた。
「テメー、ブス、遥君から離れろよ!」
「そ、そうよ!遥君も、早く離れて!」
批判が飛ぶ中、遥は離れようとしなかった。
さらには、海の腕を引き自分の方へと引き寄せる。
そして彼女の背中に手をまわし、ぎゅっと抱きしめた。
クラス中から悲鳴があがる。
「キャアアアア!ど、どういうことなの!?」
「つまり、こーいうこと。」
遥は吹っ切れたような笑顔で海をさらにきつく抱きしめた。