モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
バチリ、
海と目が合う。
今にも泣きそうな、潤んだ目で遥を見ていた。
(俺は・・・、)
「しーね!しーね!」
(俺は、)
変わらなければ、何も始まらない。
覚悟を決めたはずなのに、いざとなると怖くなる。
「・・・・て、」
(・・・え?)
海から、小さな声がでた。
遥はまさか、と目を見開く。
「・・・めて、」
「しーね!しーね!しーね!」
「やめてよ!!!!!!!!」
クラスが一瞬にして静まりかえった。
海が肩で呼吸をしながら、力強い目でまわりを見据えている。
「えっ・・・今、地味子、」
「キッモーイ、何が やめてよ!なの?」
「うっわー、反抗してきたよコイツ!」
ギャハハ、と下品な笑い声が響く。
海は勇気を振り絞って叫んだ。
変わろうとした。
(俺は?)
「ねえ、遥くんも何か言ってやってよ~」
「アハハハハ!」
海はまた俯き始める。
変われるチャンスを手放そうとしている。
遥は覚悟を決め、大きく息を吸った。
そして、
「海!!下を向くな!!!」
叫んだ。