モテる弟をもつ双子の姉の地味子の物語
「筧海!、なんだいるじゃないか。返事をしないか。」
「・・・」
「筧海!」
「・・・はい。」
「もっと大きな声で、筧海!」
「はい」
「まだでるだろう!」
しつこい。
本当にしつこすぎる。
悪ノリした生徒たちが冷やかしにかかる。
遥は自分は関係ないと思いながらも内心ドキドキしている。
(なんで一回大声で返事すればいいだけなのにできないんだよ!)
海の態度とまわりの態度にイライラしてくる。
「筧海!」
「はい」
「筧海!」
「は・・・」
ガンッ!!
海が返事をしようとした瞬間、イライラしていた遥が彼女の椅子をおもいきり蹴った。
これには担任も海も、さらにはまわりの生徒も驚き遥に視線を向ける。
「もういいじゃん、時間の無駄だろ」
「何を言っているんだ、返事は大事だろう?」
「遥君のいう通りですよ、筧海さんをずっと相手にしてたら時間の無駄じゃないですか~」
「こんな奴のために時間をつぶさないでください」
冷やかしていた生徒たちが一気に遥の肩を持つ。
そして海を攻める。
「わ、わかった。筧海、もういい、次からは大きな声で返事をするように」
「・・・はい。」
海は内心ほっとしていた。
勝手な考えではあるが、遥が助けてくれたのだと思った。
遥は本日二度目のため息をつく。
出欠も無事終わり、さまざまな授業のオリエンテーションが始まった。