水曜日の彼女

 「あの…」

 俺はバイト仲間にバレないように声を潜めた。

 そして商品を渡すと同時にポケットからそっと手紙を出した。


 「メル友からでいいので友達になって貰えませんか?」

 
 「えっ?」

 彼女が驚いて目を丸くした。

 そして少し困惑した様子を見せたが彼女は手紙を受け取った。


 「今すぐじゃなくてもいいよね?」

 「は、はい。」

 「じゃあ、近いうちにメールするわ。」

 「はいっ、ありがとうございます!」

 お礼を言うのについ、デカい声が出た。

 バイト仲間がちらっとこっちを見る。

 彼女はまたプッと吹き出して、

 「仕事頑張ってね。」

 そう言うと小さく手を振って店から去って行った。

 俺は彼女の後ろ姿を見えなくなるまで目で追った。


 急に力が抜けて嬉しさが込み上げてきた。

 「よっしゃあ~!!」

 気が付いたら俺はガッツポーズして叫んでいた。


 「なんだよ、急にデカい声だして。」

 バイト仲間が驚いた顔して振り向いた。

 「悪い、なんでもねえ。」

 俺はそう返事をするとまた不気味な笑みを浮かべた。

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