シュークリーム
「どうかした?」


平静を装う私に、目尻を下げてニヤニヤしている久美が手で顔を扇ぐ。


「毎日毎日あんなに熱い視線を送るなんて健気だな〜、と思ってね」


「なんのこと? 私にはさっぱりわからないんだけど」


わざとらしく肩を竦めてとぼけると、久美が意味深な笑みを浮かべた。


「じゃあ、沙耶は暇なのね」


「暇って……。そんな風に言わないでよ。ちゃんとやるべきことはやったわよ」


バツが悪くなりながらもそう主張した私の前に、青いファイルが差し出された。


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