シュークリーム
私も村上君も今日は残業がなくて、いつもよりも早くオフィスを出ることが出来た。


だけど、金曜日の夜だからなのか、生憎どこの店も満席で……。


せっかく村上君と過ごせることを喜んでいたのに、お店を探しながら途方に暮れてしまった。


「予約入れときゃ良かったか……」


彼はそう呟いたけれど、今朝決まったことだから仕方がないとも思う。


「でも、残業になったかもしれなかったから……。とりあえずどこかで待ってみる?」


とにかくこのチャンスを逃したくなくて縋るような気持ちで訊くと、少しの間考えるような表情をしていた村上君が突然ニッと笑った──。


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