手と手
いつも思い出すのは
あの春の日。
「かなちゃぁんっ!かなちゃぁぁんっ!ぅっ・・・か・・なちゃん・・っ・・」
幼い頃の私は、泣き虫でいつも、同じマンションに住んでる10歳年上の奏の後ろにくっついて歩いてた。
奏をかなちゃんと呼んでいたあの頃は、奏が私の全てだった。
「どうした、ちぃ。」
奏は私をちぃと呼んだ。
「ちぃのお人形さん、ママがぽいっしたぁ・・・。」
「また、新しいのあげるから、な?」
優しくて、大好きなかなちゃん。
ふわふわ、ぽかぽか
そんな記憶。
かなちゃん。
かなちゃん。
今どこにいるの?