エルタニン伝奇
「お、お前・・・・・・何者だ。何をした・・・・・・?」

苦しげに言うラスに、女の瞳が妖しく光る。
悶えるラスの様子が、たまらなく女を刺激する。
興奮にギラつく瞳で、女はラスを見つめた。

「うふふ。何て良い表情。カドレの花に、いろいろ混ぜただけだから、命に別状はないはずよ。・・・・・・今は、ね。私はお察しの通り、ガストン様お抱えの魔女。エルタニン軍の皆さんは探索途中で消えてもらうけど、折角大物が来ているのだもの。ルッカサのせいにして、あなたを葬れば、きっとエルタニンとルッカサだけじゃない、イヴァンも巻き込んだ戦争になるわ。あなたを招いたのは、イヴァンなのだしね。そうすれば、イヴァン皇帝は失脚。ガストン様が、覇権を手に・・・・・・」

「・・・・・・よく喋る魔女だ」

寝台に横たわったまま、ラスは女にされるがまま、呟いた。

「ふふふ。今更あなたに話したところで、何もできないでしょ? 最期まで何も知らないままっていうのも、可哀相だしね。でも、それなりの報酬はもらうわよ。さ、あなたの身体で、私を満足させてちょうだい。まずは、私の唇に傷を付けた罰を・・・・・・」

楽しそうに、女はラスの身体をまさぐりながら、再び唇を押しつける。

どういう仕組みかはわからないが、口の中に、薬を仕込んでいるようだ。
女が口を吸うたびに、何かが入り込んでくる。
さらにそれをねじ込むように、長い舌が絡みつく。
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