いけない保健教師〜気になる不良転校生〜
しばらく泣いて、落ち着くと春田は顔を上げた。


「ごめんね? みっともなく泣いたりして…」


「あ、い、いいえ。それより、先生…」


「ん?」


「あ…何でもないです」


(涙で化粧が流れて、顔がすごい事になってる、なんて言われたって今はどうしようもないもんな。言うのは止めとこ…)


「ちょっと待ってくださいね」


そう言って徹也は歩いて行き、腰を屈めて何かを拾って戻って来た。


「これ、付けないと先生は歩けないですよね?」


徹也が拾ったのは、春田の靴のヒールだった。


「そうだけど、付くかしら…」


「やってみますね?」
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