Escape from the DEAD
それは頬をぶたれた痛みか。

怒鳴られた怖さか。

「うっ…うぇぇえぇぇぇっ…」

クラスではいつも強気で、男子生徒にすら一歩も退かずにまくし立てる芹が泣いた。

涙で顔をグシャグシャにし、みっともなく鼻水まで垂らす。

要はそれを笑えない。

何故笑えるだろう。

これが現実。

極限状態に置かれた者の姿。

他人を見捨てて逃げるのも、人目を憚らず泣くのも、人間の真実の姿…。

「ぶってごめん…」

少し落ち着いて呟く要に、芹は声もなく首を横に振る。

そんな彼女の背中を軽く押す。

「行こう…まずは学校を出た方がいい」

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