十人十色~君の声を聞かせて~
「ねー今日はどこに連れてってくれるのー?」
わざと甘ったるい声を出して彼氏に話しかけるわたし。
「お前の好きなところでいいよ」
「えー」
いっつもそうだよね、俊正は。
自己主張をしないで、わたしに合わせる。
「……たまには俊正の行きたいところにいってみたいなッ」
「俺の行きたいところはお前の行きたいところだって」
「…………むー」
わたしは俊正のがっしりした腕に自分の腕を絡ませた。