十人十色~君の声を聞かせて~
そのまま路地裏から道に出ると、周りの人から変な目で見られた。
そりゃそうだ。ホームレスの手なんか引っ張って歩いてたら誰だって変だと思う。
わたしはそんな人たちを無視して家まで歩いた。
家のドアをガチャ、と開けて、家に入った。
開口一番、ホームレスくんは、
「誰もいないのか?」
とわたしに聞いてきた。
わたしはうなずいた。
「まぁね。わたし、県外の高校受験したから、親とは離れて別々に暮らしてるんだ」
「…………?」
ホームレスくんはよく分かっていないようだった。