十人十色~君の声を聞かせて~
彼女は、小さいときからピアノを習っているらしい。
「俺は長続きしないタイプだから、絶対できねぇな……」
はは、とひとりで小さく笑った。
んで、俺が彼女のいる音楽室の入り口にいる理由。
いや、そこから先に踏み出せない、といったほうがいいだろうか。
「すごいね」
っていってあげたいけど、なかなか勇気がでない。
よく積極的だ、といわれるけど、全然そんなことなんてない。
俺は、好きな女の子に話しかける勇気も無いへタレだ。
「はぁ……」
自分でため息がでた。