君が愛した教室

里子はその後も「クラスだけでも!」とか聞いて来たりして、もうラチがあかなかったから、

「年上!かな…」

とだけ答えておいた。

「えー!!うちらより先輩!!?」なんてまた盛り上がってたけど…
間違いは言ってないよね。

14歳"年上"…って意味では。

ごめんね。里子。
里子は大好きだよ。信頼してるし、私の高校で出来た初めての友達だから…


きっと、私は。
もし先生の事を話して、里子がどこか遠くにいってしまうのが怖かったんだ。
先生に片想いしてるなんて、普通じゃないもん。

聞いたら絶対…失望するよね、私のことなんか。

だから、私の想いは誰にも秘密。
きっと、一生誰にも伝わることもなし、成就することもない。

私だけの、一方通行な恋。

それでも、いいんだ。
私と先生には時間が限られてるから。

叶わない未来を不安がるよりも、想う事が出来る今を精一杯過ごそう。

そう、決めたから。




……とはいったものの。

物理って、こんなに難しいのー!!?


宣言通り、私は学校帰りに本屋で分厚い参考書を買った。

家に帰ってさっそく読んでみたは良いけど……
全く未知の世界だった。

自由落下?相対速度?加速度?

もうあげたらキリがない。

「こんなの無理だよぉ……」

難しい文字だらけの参考書。
なんでこんな科目選択ちゃったんだろう。


過去の私のバカッ。


ちょっぴり、思った。


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