君が愛した教室

放課後の掃除当番は、私のささやかな楽しみ。
もう毎日掃除当番でも構わないってくらい。
だって…私の掃除場所は、職員室だから。
"先生"に…逢えるかもしれない。
それだけで私の心は躍る。

って言って会った事なんて一度もないんだけどね。
担任を持つ先生は自教室の掃除監督をする。
"先生"もそう………。
だから、会えることなんてなかった。


「逢いたいよ…」

心の声がつい表に出てしまう。
もう私、重症かな。

私は先生たちの各机にあるゴミ回収を誰よりもゆっくりゆっくり進めた。
だって、ゆっくりしてたら掃除を終えて帰ってきた"先生"に逢えるかもしれないでしょ?
バカみたいって思われても構わないよ。何の情報も知らない"先生"を探すには、こうするしかないもん。
もう一度"先生"に逢いたい。
せめて名前くらい、知りたいよ…



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