☆ハイローハート
「相手がこっちに好感を持っているかどうかを確認してから相手に好意を寄せているもの」

メロンソーダを飲むあこが止まる

「女は男の好意に敏感だけど、あこは特に敏感」

あ、MJがはじめてあこのこと『あこ』って呼んだ

「相手が自分に好意を持っていることを察知すると、やっと心を開くのよ
……したたかで、計算高いわ」

「ちょっとちょっと、そんなに勝手に人の分析して“鑑定料”とか言い出さないでよ」

「あなたには占いの意味ないって言ってるでしょ」


アタシはMJの透き通る白肌を見つめていた

「MJさあ、もっとあかるいメイクとかして、髪型ももうちょっと軽くすればいいのに」

「だから、ね?
ミステリアスが売りなんだってば」

「でも、今のMJこけしみたいやで」

というと、MJはお冷の表面を指先で弾いて、水滴がアタシに飛んできた

「つめたッ」

「やだモロ、こけしじゃなくて座敷わらしでしょ」

あこがさっきの反撃とばかりにそう言うと、MJが今度はあこに向かって水を弾く


「とにかく、今は、外見を変えるつもりはありません」


怒ったようにMJはそう言ってミックスジュースを飲み干した

あこは飛んできた水滴をハンドタオルで押さえている

MJはグラスをことんとテーブルに置くとうつむいた


「……変えたくなったら……、相談するわよ」


MJが小さく付け足した言葉に、アタシはあこと顔を見合わせて微笑んだ


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