☆ハイローハート
国坂くんとメールしたり、たまに会ってはお茶したり

あことMJと学校で語ったり(この二人は最後は言い合いみたいになるんだけど、本人たちは意見交換の白熱だという)

ほんの少し意識するだけで、マンションでは理一と会わないし


心を穏やかに

偶然彼氏のいない女達が三人

気付けばあっという間にすぎていく毎日を楽しんでいた



この二人がいなければ、アタシはきっと下に堕ちていた


だけど、あこは「女を上げる」ことに余念がないし

MJは「いつでも呪いの実験台募集中よ」なんて怖いこというし


雨季のじめじめすら彼女たちは関係ないみたいに前を向いて歩いていく



少し冷房が効きすぎているファミレスで、窓の向こうのしとしと雨をひじをついて眺めていた

ドリンクバーでホットハーブティーを入れたあことMJが「草の匂いがするわ、このハーブティー」と言いながら戻ってきて、アタシは居住まいを直す



「あのさ、今日担任に呼ばれて……
夏から一年間、オーストラリアに行くこと決まった」


あこは「え~、やっぱり~~」と予想していたみたいで

MJは「……そう」と妖艶に微笑んだ


「どーするMJ、夏休みモロがいなきゃつまんないよね」

「……そうね、でもすごいわ、留学を希望していた人はたくさん居たのに」

「アタシは、父親にいつ会ってもいいように、英語勉強してたから……」



MJはアタシにハーブティーを差し出して「毎月、モロの今月の運勢を占ってメールするわ」と言った
あこは「ケータイ、海外でも使えるようにして行ってね」と、テーブルに乗せているアタシのスマートフォンを指差す


「うん」


うなずいて窓に目をやると、数日間降り続いていた雨がやんで雲の切れ間がかすかに明るくなっていた


< 233 / 756 >

この作品をシェア

pagetop