☆ハイローハート
色々考えているだけで眠れなかったわけじゃないけど、現実がリンクしたのかすごく悩んでいる夢を見て、目が覚めても疲れていた


――16時、だっけ


時計を見ると12時


俺は着替えると、昨日買ってきて結局渡すことのできなかったコーヒーゼリーを冷蔵庫から出して5階へ向かった


せめて寝癖くらい直してくればよかったか……
髪に触れると、後頭部がはねている


半ば諦めながらインターホンを押して、応答を待つ



ケータイを持ってこなかったからはっきりとはわからないけど……


20分は玄関前で粘った


それでもやっぱりみさきは出てこなくて

俺は非常階段を再びあがると、あこの家のインターホンを鳴らした


しばらく待っても誰も、何も反応もない


あこもいねーのかよ……


手に持ったコーヒーゼリーがばかばかしい

かと言ってこのまま自分の家に戻るのはめちゃくちゃむなしくて

俺はあこの家の玄関にもたれかかってしゃがみこんだ


エレベーターが動いている独特の音がする

その音がとまると、ドアの開く音とガサガサとビニール袋がこすれる音


耳だけが過敏に音を聞き取って、どうやらその音は6階できこえてくるらしい……と思った瞬間目の前に人があらわれた


「わっ!!!」


しゃがみこんだ俺の姿を見てあこが後ろに飛びのく

「何、してんの?びっくりするじゃん……」

キレイに化粧して、髪も巻いてる様子を見ると出かけるらしい

「あこ、どっか行くの?」

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