☆ハイローハート
最低な事をしてるヤツって、意外と自分が最低な事をしているって認識していないと思うんだ

その頃の俺は常に満たされない何かを抱えていて、さやかが満たしてくれる一部分と、チャコちゃんが満たしてくれる一部分で成り立っていた

たった数ヶ月数え切れる程度しか同じ時間を過ごさなかったのに、あちこちにみさきの破片が散らばっていて、エレベーターに乗っていても、駅の階段をのぼるだけでも……それを拾うことに集中しそうになるから

さやかやチャコちゃんで上塗りしていく

それを繰り返せば、みさきに対して感じる罪悪感は消えるだろうか



さやかの誕生日は、彼女のリクエストに答えてリングを買っていた

俺がデートコースも考える予定だったけれど、「理一くんと一緒に乗れなかった観覧車に乗りたい」と言われて、あっさりと遊園地に行き先が決まる

乗り物オールジャンル苦手なくせに……

と思いながらも子供みたいな乗り物に乗って、散歩した

背も小さくて、歩幅も小さくて、手も小さくて……全てが小作りな感じがものすごく可愛くて、太陽の下で見るとやっぱり俺の彼女はさやかがいいなって実感する

チャコちゃんはいい子だけど……


夕方になって、観覧車の列に並んだ


さやかには、観覧車の中でプレゼントを渡すつもり

なんか、ありきたりだけど……


あの日のようにライトアップされた観覧車には、やはり家族連れがたくさん並んでいて……


興奮した子供が俺の横を走り抜けて行くと、その子の持っている風船がなびいてついていく

観覧車を見上げているせいで足元を見ていなくて、派手にすっ転ぶから苦笑した

それでも根性で風船をつかむ手は離していない


俺は歩み寄って、その子の脇に手を入れると立ち上がらせた

しゃがんで目線を合わせて「大丈夫か?」と聞くと、ピースサインの返事

……そういや、みさきはピンクうさぎを悩殺するという作戦で子供のために新しい風船をゲットしてたっけ?

余計なことまでついでに思い出す

観覧車に並んでる時も後ろにいた子供に風船をあげて……

ミスドでは子供と一緒にミニカーで遊んでいた

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