☆ハイローハート
授業が終わった後の起立、礼もせずに机に突っ伏していた


……このまま立てるか

ナルが俺の前に来てしゃがみこむと俺の顔を覗き込んでくる


「なんだ、起きてんじゃん
……お疲れモード??」

「……欲求不満モード」

「ぶぶっ、なんだよそれ」

「何?俺、精神統一したいんだけど」


心頭滅却すれば火もまた涼し、といいますし……

煩悩を捨てるにはやっぱり精神統一するしかないだろ


「今日とよきがあこの家行くんだって
邪魔しにいかねえ??
あいつばっかりにいい思いさせたくねーじゃん」

「ほっといてやれば~
とよきが何年あこに片思いしてたと思ってんだよ」


……とは言ったものの





「なんでお前らがついてくるんだ……」

「だってさ、なんだかんだであこに入室拒否されてから俺半年くらい行ってないし」

「ナルはそうだとしても、理一は違うだろーが」


部活が終わった後
三人揃ってすっかり暗い道を並んで歩いていた

まだ夜というには早い時間だけど、冬の太陽は短い


「……ったく、ナルに言うんじゃなかったよ」

「でも言わなくても理一とマンションまで一緒じゃんか」


「まあまあこれからあこと二人きりになるチャンスなんていっぱいあるんだからさ、一日くらいイイじゃん」

と俺がなだめると、とよきは道に落ちた枯葉が飛んでいくんじゃないかと思うほど深いため息をついた


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