☆ハイローハート
アウト オブ コントロール
猫じゃらしは封印した

カブはやっぱり初見どおり心筋症で、安静に過ごしつつ、大量の薬を飲む日々

後肢の調子が悪いのは血栓のせい

ネットで「猫の心筋症」を調べても悪いことしか出てこなくて、気分が滅入る

次に呼吸困難な発作がまた出たら?
それがアタシが学校に行っている間だったら??

ママと相談して、日中は事務所に……っていう案もでたけれど、姉ネコのサリーと離れると不安じゃないかな?
慣れた場所で、慣れたニオイのところにいる方がカブも安静にしていられるんじゃないかな?

そう考えると、思い切れずにいる


なるべく遊び歩かずに、モロやMJがフリーな日はアタシの家に集合している

とよきもそう


それにとよきは、薬のにおいを敏感に察知して食事を摂ろうとしないカブのために、超高級なネコ缶を買ってきてくれる
その缶詰に錠剤を混入して出すと、見事にカブはだまされてくれる

「味に慣れるとまた薬を察知するだろ」

って、品を変えてカブのために持ってきては、サリーとカブとダラダラして帰って行く


今まではカブをうっとーしそうに横目で見ていたサリーですら、何か勘付いているのかカブのそばをあまり離れない……ように感じる


お風呂あがりに部屋に入ると、いつもアタシのベッドの上を陣取っていた二人がじゅうたんの上で寝転がっているのを見つけて泣きそうになった

ベッドに飛び乗れなくなってしまったカブにつきあって、サリーはお気に入りのベッドに乗らないんだ


「ごめんね、もっと早くに病院に行ってれば……」


と話しかけると、カブは丸い目でアタシの姿を見ながら舌で鼻を舐めている

確かに痩せたけど、表情は相変わらず無邪気で(ねえ、なんでかなしそうな顔してんの?)とでも言いたそう


「カブ……」


泣いて……どーすんだ

死ぬと決まったわけじゃない

一生懸命生きようとしてるじゃない



アタシの目の前で

< 470 / 756 >

この作品をシェア

pagetop