☆ハイローハート
電車に乗ってる時以外はほとんど走っていた

くっそ、龍一
アイツわざと今日が家庭教師の日だって言わなかったな……

俺が出かける前に“理一出掛けるんだ、ふ~ん”とか言いやがったことを思い出して、「くそっ!」と声に出した



「ただいまっ!!」



と大声で言っても返答なし

?と思ったけれど、すぐに玄関にみさきのサンダルをみつけて、龍一の部屋に直行


「ただいまっっ!!!って言ってんだろ!!」

みさきが驚いた顔でこっちを見上げて「なんでそんな怒ってんの??」と眉を寄せている

「だって、誰も返事してくれねーんだもん」

「ふふっ、寂しがりやか!おかえり、理一」

「ただ……い、ま」


やべっ

今俺、あそこがキューンってなった

キューンって、ギューンってなった


「勉強の邪魔すんなよ、バカ理一」

龍一が立ち上がって俺の肩を押すと部屋から追い出そうとする

「あ、そっか、悪い悪い」

とは言ったものの、ふと思い出して部屋を出た瞬間「っつか龍一テメー、今日家庭教師だってこと俺に……」と怒りながら振り返ると、龍一がしめかけたドアの隙間からみさきが俺に手を振っているのが見えて、一瞬で顔がニヤけると(みさき♪)と俺も手をふった


みさき、かわい

ってゆうか龍一のヤロー!


うわ、走ってきたから汗すげー

シャワー浴びよ


頭の中、みさきの笑顔で全て何もかも塗り替えられたのがわかる

国坂のことも、申し訳ないけどさやかのことも、俺のあらゆる感情は……みさきが全部癒してくれる

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