☆ハイローハート
確かにあこは正義感をふりかざしてカチンとくることも多いんだけど

言葉は冷たいし、態度もそっけないけど、あこに言われる「バカ」にはたくさんの愛情も詰まってることがわかるから……

できればあこにはいつも幸せでいてほしい

できれば、俺と仲のいいとよきと一緒に

そんでそんで、9月3日の金曜日は俺とみさきも一緒に幸せになりたい


暑さは夏休みが終わっても変わらない

短縮授業が終わって俺は適当に家で時間を潰して、駅でとよきと待ち合わせをしてクルージングディナーの出航ポイントまでむかった

母さんに「何着ていけばいい?」ときいて、クローゼットを見せたけど

「なんでこんな派手なシャツしかないのよ」と言われて、その中でも一番派手じゃない薄いピンクのシャツとズボンを選んでもらった

玄関でビーチサンダルを履こうとしたら、うしろから頭を叩かれて……結局ALL STARのスニーカーを履いてきた

革靴なんてさすがに持ってない

外に出て暑さに瞬殺されて、シャツは腕まくりする

とよきは、胸に大きくマークの入った白のポロシャツを着ていた


「夜になったら涼しくなって欲しいね~」

「水上って、なんとなく涼しそう」

「あ~確かに」


なんて他愛のない話をしながら17時半過ぎには到着すると、すでにみさきが立っていた


「あこは??」

と俺が聞くと「あこは用事があるって、現地集合にしてんけど……」とみさきは不安そうな声を出した

「俺からのメールは全部無視だし……こないかもな」

なんてとよきがますます不安にさせる

「あこがこなかったら、お前ら二人で行けよ」

「でも、今日はほとんどあこととよきのためのクルージングやのに……」

え?俺も誕生日ですけど……
多分、みさきはそんなことすっぽり抜け落ちているんだろう

他にもクルージングに参加する人達がやってきて、次々に俺たちを横目に乗り込んで行く


「大丈夫、あこは来ないんやったら、最初から“行かない”って絶対言うもん」

とみさきは自分に言い聞かせている

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