☆ハイローハート
さやかは大事そうに自分の手を胸に抱くと「このリングだって……」とうつむいてしまった


「このリングだって、観覧車の中でプレゼントしてくれて、ずっと一緒にいてくれた」

「うん」

「別れてから“外したほうがいい?”って聞いたら“大切にしてて”って言ってくれたし……
それって、さやかの事キライじゃないって事でしょ?」

「……うん」

「昨日だって、さやかが泣いてたら理一くんはそばにいてくれた」

「うん」

「今は気持ちが動いてても、きっとまたさやかを選んでくれるって信じてるから」

「……」

「だから……本気じゃないなら、理一くんに会わないで、ください」

「……わかった」


さやかは両手でカバンを抱きしめるとパタパタと走って行ってしまった


校門からは人がぞろぞろと出てくる


その流れに乗って足を動かす

誰かの体を借りてるみたい

体と心が離れていく




ううん、違う


きっと、昨日



バイバイ、理一と告げたあの公園で



アタシはアタシですら見つけられない場所に心を隠してしまった


< 624 / 756 >

この作品をシェア

pagetop