コスミックダスト-戦塵の宮殿
「ねえ猟・・・・・・・」

耳元で囁き声がした。
熟睡から覚めると昼休みだった。
そしてそこにミドリがいた。

「よく寝るね。すごい」

「何か用か?」

「パン買いたいんだけど。どうすればいいの?」

「パン? そんなもん、朝注文しとかなあかんわい」

「え~? ひどい。だったらオレ昼飯抜き?」

「1食ぐらい抜いたかて死ねへん」

「ここ何日か、何も食っていない」

「・・・・・・なんで?」

「昨日はオマエが学校来てなかったし」

「そんなモン、誰かに買い方を聞けばええやんか」

「それにオレ、日本の金、持っていないんだ」

「はあ?」

「銀行で両替を頼んだんだけど、断られた」

「・・・ほな、あのアパートはどないして入居した?」

「あれ・・・オレのうちじゃない。オマエを担いで歩いていたらたまたま留守の家みつけて」

「はあ? そんなもん、犯罪やがな」

だったらコイツ、普段は一体どこで生活してんねん? 
野宿か? 
4月とはいえ、今年は春の訪れが遅い。
東京では先週雪だって降った。

「しゃあないな。ついて来い」

ミドリを連れて教室を出た。

オレはほとほと人が良い。
そのまま正門をくぐり出た。

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