コスミックダスト-戦塵の宮殿
「ど、どないしたですか、急に、学校なんかに」

平静を装うつもりでも自然に声が震えた。
この人がミドリの母を殺した。
オレたちは他人相手によく喧嘩をしたが、人を殺したことはなかった。
須原サンもそうだと思っていた。

「よ、よく分かりましたね、ココが」

「なあ、猟・・・」

「は、はい」

「如月ミドリがオレの名を知ったそうだな」

「え、あ、はい、いえ、あの・・・」

「オレは逃げられるとは思っちゃいない。オレは間違いなく殺される。クーデターの首謀者は死刑と決まっているし、オレがどんなに抵抗したって、生まれた時から戦闘の訓練を受けているプロに素人が太刀打ちできるはずがない」

戦闘のプロ? 
ミドリが? 
どう見たって須原サンのほうが強いやろ?

「だがこのまま死ぬのはあまりに無念だ。無残に散って行った2000人の同朋があまりに惨めじゃないか。なあ猟・・・この無念、オマエに託したい」

「はあ?」

「ミドリと、ミドリの父を、殺して欲しい」

バ、バカなこと言うなッ。
そんな言葉が出掛かった。
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