あんたとあたし。





 ・・・有名人??

 あたしの頭の中には、本来なら高校生の年なのに数学で博士号を取った少年の顔とか、甲子園で「ナントカ王子」って騒がれる人たちが思い浮かんだ。


「まぁ、おつむはあんまりらしいけど、運動神経めっちゃいいし。うちの野球部、強いらしいのに、1年の時からレギュラーなんだって。甲子園も出たらしいし。」


 「学校じゃ有名人。」と得意げに彩が鼻を掻いた。


「へー。有名って、そーゆー意味か。」

「え、それ以外にどーゆー有名?」

「いや、なんでもない。」


 ミルクティーのストローを噛みながら、まじまじと少年を見つめた。

 
 少年は、ピッチャーらしく、キャッチャーの子に向かって、投球をしていた。
 
 練習着の「野球部」と書かれた黒いTシャツの袖を肩までめくって、細い割に付いた筋肉が腕の使いようによって見え隠れする。

 
「普段は、無口らしいけど、男友達には心開くって話。」

「へぇ。てか、なんであんたそんなに詳しいの。」

「あたしの情報網、あなどっちゃいけないねェ。」


 人差し指を、左右に振ってチッチッチッと言った。


 ・・・一体、何様??




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